令和7年のデッドボール
Kindle本の新作を発表しました。
「令和7年のデッドボール: 貧乏と入院と万博だけの2025年」です。
もちろん大江健三郎の「万延元年のフットボール」をパクったタイトルですけど、中身は全然違います。ギー兄さんも出て来ません。
写真+テキストという、手垢のついた表現手法の「おっさんぽえむ」シリーズ10巻目という位置づけですが、大阪というか自分の半径3メートルの景色を切り取り、一巻ごとに一年分というペースで発表した「OSAKA candid」シリーズとの統合という、作者以外にはどうでもよい意味も持っている一冊です。
タイトルで内容が透けていますが、去年一年間の記録です。
フォトログをご存知の方はお馴染みですが、ぼくは写真とテキスト、どちらにも同じ熱量を持って日々ネットに海に腐ったデータを吐き出しています。
そして意図的になのか無意識的なのかは自分でも分かりませんが、写真とテキストは無関係の場合が圧倒的です。
過去に出したKindle本も、テキストはストーリーとしての体裁を保っていますが、添えられた写真はほぼ無関係な画像を使用してきました。
フォトログは写真ありき、Kindle本はテキストありきって感じでしょうか?
これは大学で習った比喩論の応用です。
掻い摘まんで説明すると、比喩とは対象どうしが限りなく遠い場合に、最も効果的だという説があるらしいのですよ。
たとえば色白の美しい女性に「雪のような肌」なんて直喩を用いますよね。
これは肌の色と雪の白さが直結していて、分かり易い例えなのですが、それをわざと遠ざける方が、より女性の美しさを表現できるという考え方です。
「肌の白さ→雪」という短絡的な比喩ではなく、「肌の白さ→雪→冬→寒さ→痛み」みたいな感じでイメージ連想を行い、本来の白さや雪からは離れた言葉で例える手法です。
イメージ連想の例が雑すぎるのでアレですが、「雪のような肌」よりも「彼女の肌からは痛みのようなものが伝わって来た」と表記する方が、単に色白さだけでなく、儚さまでもが伝わるような気がしませんか?強引ですか?強引ですね。自分でもそう思います。
でもちゃんと思索すれば、手垢のついた表現とは別の比喩が生まれるのも事実です。
某日刊紙で紹介された記事によれば、そういうイメージ連想を使うのが、ぼくの「作風」といえば作風らしいのです。知らんけど。
そういう画像とテキストの乖離が、今回の「令和7年のデッドボール: 貧乏と入院と万博だけの2025年」にはありません。直球の写真と直球のテキストです。
フォトエッセイとか呼ばれる書籍の、恐らく本来あるべき姿だと思います。
令和の時代に、一般人に擬態した極貧ヒエラルキーの人間が、自分自身すら底辺であることに気づかず、気楽に生きてしまった記録です。
度々ネタにしますが、ぼくは数年前にとある病気を発症しました。病名を告げられた時も、始めて耳にする名前な上に深刻さ皆無なネーミングだったので、お気楽に話を聞いていたら、いきなり余命の話になって、マジかよ!?と焦ったのを覚えています。
ちょうど家族を捨て、コロナで仕事も失ったところだったので、まぁ病気で死ぬのもアリだなと、あっさり現実を受け入れました。痛いのかしんどいのは嫌だけど、ぶっちゃけ特に未練も怖さもありませんでした。
昨年開催された万博がいよいよ現実として大阪では日々ニュースになった頃で、道頓堀には万博PRのための「げんこつdeオー!」という、金色の拳のオブジェも設置されていました。色んな場所にミャクミャクも登場し、至る所にエキスポ開催を告げるフラッグも飾られ始めました。
そういう万博がやってくるムードを肌で感じながら、2025年には、もう俺はこの世にいねぇんだなぁと思った記憶があります。
何の希望も未来もないぼくですが。現実的に辿り着けない場所の象徴として、万博は常に自分の中に存在していました。
しかし蓋を開けてみれば、余命なんかとっくに超えてしまってものうのうと生きています。
行く気力もないというか、そもそも行けないと思っていた万博への興味もなく、高価なチケットを買える身分でもないので、一度も訪れることはないと思っていました。
それがどういう訳か、隔週で訪問するようになったのです。
万博と入院と、入院費用に少ない稼ぎを持っていかれて、何のために生きているのか分からない貧しさだけで完結する暮らし。そこに青くんや天音かなたさんの卒業というダメージが加わって凹んだ2025年、そんな一年の記録です。
そこら辺の貧乏なオッサンの記録なんて、誰が読むんだよって感じですが、お陰様で想定したくらいは売れています。
前回のKindle本が出だしからつまずいて、ああ、もう俺は飽きられちゃったんだって凹みましたが、まだギリ大丈夫みたいです。
良かった。
もちろんアンリミテッド対応で、会員様は無料でレンタル可能です。むしろレンタルしてください。レンタルへの導線として、今回はアホみたいな価格に設定しています。たぶん歴代で一番高い金額です。買ったら千円もするけど、レンタルしたらタダですよ奥さん!
もちろん千円の価値はあると自負してますけど、それでも借りて読んでください(笑)






